マインドフルネス(マインドフルネス瞑想)

1.マインドフルネス(マインドフルネス瞑想)とは

2.マインドフルネスの方法

3.マインドフルネスの目標

4.マインドフルネスが注目されている理由

5.マインドフルネスで脳に変化が?

6.マインドフルネスはうつ病に効果がある


1.マインドフルネス(マインドフルネス瞑想)とは

 マインドフルネス瞑想法とは『今』という瞬間に完全に注意を集中するという方法である。(J.カバットジ, 2013訳;春木 豊)

 人間が対象を知覚すると、ある結論を導き出します。その結論を出す解釈の作業は、ほぼ自動的に行われています。そのために、目の前で起きていることをありのままに認識することは困難です。もしも誤った認識をしてしまうと、誤解や憶測によって苦しめられてしまいます。これが、うつや不安になる要因の1つになっています。

 マインドフルネスは、目の前で起こっていることをありのままを認識し、自分にとって良い考え方や行動に結びつけるために、「気づく」ための良い技法です。

①マインドフルネスという言葉は

  今の瞬間の現実に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、思考や感情には捉われないでいる存在の有り様を意味する言葉です。これは仏教の考え方に根源があると言われています。

②なぜ自動的に解釈をしてしまうのか

 「知覚」して「解釈」し「結論」するまでの認知過程では、個人的なバイアスがかかるためであると考えられています。それは好き嫌いであったり、その人が今まで生きてきた教育環境、文化の影響を受けています。それが、自分にとってどのようなことを与え、どのような考えが生まれ、どのような状態にいるのか「気づく」ことがストレス緩和には必要です。その「気づく」ための方法としてマインドフルネスがあります。


2.マインドフルネスの方法

【3分間呼吸法】

ⅰ. 椅子に座り両足は肩幅程に開いて座る(床の場合はあぐらをかく)。

ii. 背筋は伸ばし、顎は高くせず、正面あるいはやや下の位置を意識する。両手は膝の上に乗せる。目は軽く閉じる。

iii. 自然な呼吸をしながら腹部に注意を向ける。

iv. 腹部が呼吸とともに、膨らんだり縮んでいくのを観察する。

v. 他のことに意識が向きそうになったら、すぐに注意を呼吸に戻す。これを3分間行う。

※ 他にもボディースキャン瞑想、ヨーガ瞑想というものもあります。


3.マインドフルネスの目標

 まず第一に、今に注意をとどめることで、今の瞬間に目を向けることができるようになること。人間はほとんどの場合、今の瞬間ではなく、未来や過去のことに捉われて生きています。それが原因となり、誤解や苦しみを生んでいます。その誤解や苦しみを生み出しているものは自分自身ということに気づくことによって、自由な思考や行動を考えることができ、その結果、脳にとって理想的な状態を作り出すことが出来るようになります。また、自己観察から洞察に進むことによって、良い方法で自分と向き合えるようになります。

 すなわち、マインドフルネスの目標は、身体感覚・思考・感情に気づき、自分のネガティヴな反応を止めることです。自分自身での自分の体験に気づいて、反応を止めることによって、過去の経験からくる行動を消去しやすくなります。


4.マインドフルネスが注目されている理由

 近年、マインドフルネスが欧米で認知行動療法に取り入れられ、医学的発展を遂げたことがきっかけと言われています。

 認知療法と組み合わせ、うつの再発を防止する効果があることがわかりました(Z.V.シーガルら,2014 監訳;越川房子)。大うつ病を2回経験している患者を対象に、マインドフルネス認知療法を行うと、通常治療者(普段受けるような治療)の半分程にうつ再燃率を抑えることができました。

  さらに、マインドフルネス瞑想でストレスを低減させる検証が数多く行われています(J.カバットジ, 2013訳;春木 豊)。睡眠障害、不安、癌、慢性病など多くの疾患で検証が行われ、身体面、心理面で十分な効果が出たことが報告されています。

 最近では特に欧米の大手企業が、人材育成や教育に向けて取り入れはじめたこともマインドフルネスが流行しているきっかけになりました。

 例えば、 GoogleIntelAppleなどがマインドフルネス瞑想を取り入れています。Googleがマインドフルネス瞑想を取り入れている理由は、マインドフルネス瞑想によって自己観察から自己洞察することができるようになり、それは共感力を育むことに繋がり、人との信頼関係にも影響を及ぼす。その結果、個人にも会社にも有益な結果が出ているからと言われています(チャディー・メン・タンら,2016監訳 柴田祐之)。

 また、アメリカ心理学会(American Psychological Association)も効果を認め、『効果があるとしているストレス解消法は8つある。その中の一つに瞑想法がある。他には、運動(エクササイズ)、マッサージ、読書、音楽、散歩、友人や家族と過ごす、お祈り。』と述べています。

 最近では、他にも様々な効果に期待がされており、認知症の予防、交感神経の働きの抑制、副交感神経の活性、集中力の向上、ストレス耐性など、研究が盛んに行われています。


5.マインドフルネスで脳に変化が?

 少し前までは、脳細胞は減っていくもので、脳は萎縮していくものとされていました。しかし、最近の研究では、使った場所の脳の容積や体積が大きくなることが解明されています。神経細胞自体ではなく、神経を養う細胞や神経繊維が増えたり、細胞と細胞の連絡が増ええます。すなわち、筋肉と同様に、脳を使えば脳も大きくなります。マインドフルネス瞑想法をしている人の脳にもこのような現象が起きることが報告されています。

 マインドフルネス瞑想を行うと、感情や思考に対する注意の機能を持つ前頭前野を使います。その部位の大脳皮質の容積や面積も、通常年齢とともに萎縮していきますが、マインドフルネス瞑想を行うと萎縮が起きにくいことが報告されています(熊野宏昭 2012)。これは自分のことを客観的に見れていることにもつながると思われ、認知行動療法が目指すものでもあります。


6.マインドフルネスはうつ病に効果がある

①うつ病の危険性

 うつ病(抑うつ状態)は、最もよくある精神医学的な状態で、自殺の危険性も考えなければなりません。自殺の危険性はうつ状態の繰り返しで増加します。うつ状態には、不安障害も併発もしやすく、一層危険性が増します。更に、うつ病(抑うつ状態)は、心理的苦痛だけでなく、機能障害にも影響を及ぼしてきます。

 うつ病の治療法としては、抗うつ薬を処方し、ノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質に働きかける薬物治療が主になります。加えて、精神療法(代表的なものは認知行動療法)があります。うつ病を考える上で大事なことは、うつ病(抑うつ状態)の再発率で、うつ病の再発率は薬物療法を続けている人でもおよそ60%と言われています。うつ病では、その再発率が有病率を高めています。

 うつ病(抑うつ状態)になりやすい人は、うつ(抑うつ状態)になりやすい特性を持っています。ネガティブな認知過程が形成されてしまっていることが多いです。

  今までの認知行動療法は、うつの再発を2040%まで抑えることができると言われています。しかし、今までの認知行動療法では、①医師や心理士と一対一の形式で行わないといけない、②精神・心理療法を受ける側は根気強く、学習していかねばならないなど、実際の臨床現場では困難であることが多いです。

②うつ状態になる仕組みと今までの認知行動療

 うつ状態になる仕組みは思考にあります。うつになる「出来事」が起き、「ネガティヴな認知や行動」が働く。そして、うつ状態になります。今までの認知行動療法は「ネガティヴな認知や行動」の部分を変えるために、客観的に自分をみる学習をする。自分がどう考えてるのか、なぜそのような行動をとるのか、客観的に物事をみることを学んでいく。そして、再度うつ状態になりそうなときは、学んだことを活かして、うつ状態から回復する、という構造の心理療法です。

 この客観的に物事をみるということを「脱中心化」「メタ認知」と呼びます。「脱中心化」「メタ認知」を今までの認知行動療法では手段として使用しており、目的ではありませんでした。

③マインドフルネスは「脱中心化」「メタ認知」が目的

 今までの認知行動療法では、うつ状態になりそうなとき、いちいち「脱中心化」「メタ認知」になることを考えなければなりませんでした。つまり本当の意味で、身についていません。

 一度うつ病になった人は、ネガティヴな認知過程が形成され、うつになりやすい脆弱性を持っています。マインドフルネスでは「脱中心化」「メタ認知」を目的とし、それらを常に身につける訓練を日頃から行います。そうすることでうつ状態を遠ざける耐性を作ります。うつになりやすい脆弱性を、ならない耐性にすることが出来ます。

 ここがマインドフルネスの一番の特徴です。よって、マインドフルネスは第三世代の認知行動療法とも呼ばれています。うつにならない耐性を作れば、うつの再発は防止され、効果の持続も長くなると考えられています。

スポンサーリンク
精神科(レンタングル大)
精神科(レンタングル大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする